動機と刑事裁判

2015.03.15 01:31|思索
前回の記事で動機の重要性について書きましたが,人を裁く刑事裁判においても,動機は重視されるべきですよね。

同じ罪を犯した場合でも,その動機しだいでは,霊界での評価は全く変わってくると思います。

その点,実際の刑事裁判はどうかというと,動機が重視されるようなケースは確かにありますが,動機によって,刑の重さが大きく変わってくるということは,それほど多くないという印象です。

たとえば,コンビニに強盗に入り,店員に怪我を負わせたという強盗致傷事件を例にすると,被害金額がどれくらいか,被害者に対してどういう暴力や脅迫をしたのか,被害者の人数は何人か,被害者の怪我の程度はどれくらいか,被害者との間で示談が成立しているか,被告人に前科があるか,といった客観的な要素によって,刑の重さは大体決まってきます。

被告人の動機について言及する裁判例も,もちろんありますが,多くは,「自分勝手」「短絡的である」と簡単に切り捨てられていて,裁判官も動機についてあまり深くは検討していないことが窺われます。

私が担当した刑事事件でも,被告人にはこのような同情すべき動機があると私の方で色々と主張したのに,「短絡的犯行であり,酌むべき点はない。」とばっさりと動機の点を切り捨てられてしまったものがありました(>_<)

被告人が生活に困ってやむなく強盗に及んだというケースなどでは,被告人に結構有利になるのではとも思えますが,実際にはそれほど有利にはなりません。

たとえば,コンビニ強盗事件で,被告人の動機について言及する裁判例として,以下のものがあります。

「本件犯行の動機は,被告人が本件犯行の3日前から何も食べておらず,空腹に耐えきれなくなり,コンビニで現金や食べ物を奪おうとしたものであるが,被告人のこのような状況は・・・(省略)・・・自ら招いたものといわざるを得ないし,このような状況になっても,知人等に援助を申し込むなど他の手段は考えられるのに,それをせずに本件犯行に及んだことは,同情することはできず,この点は検察官の主張するとおり,被告人の刑を重くする事情である。」(仙台地裁平成22年6月4日)



この判例では,動機について被告人の刑を重くする事情であるとしていますが,被告人が被害者に対して何度も包丁を突きつけた点などの行為の危険性を重視すべきであると述べられているので,動機は,一つの判断要素くらいの位置付けしかなかったと思います。

このように,刑事裁判においては,動機よりも,結果の重大性,行為の悪質性が重視されている気がします。

動機を重視するシルバーバーチ的観点からすれば,この判断枠組みはどうなんだとも思えますが,これは仕方のないところではあると思います。

というのも,被告人の動機のような主観的な部分については,本当のところはよく分からないという事案も少なくないからです。

客観的な証拠から,被告人の動機はこのあたりにあったのではと推測することはできますが,真の動機を確実に証明する手段は現世では存在しないと思います。

そうなると,動機だけを重視して,被告人の刑の重さを判断するということは,かなり危険というか,不確実な根拠に基づいた判断になりかねないと思います。

また,結果とか犯罪行為自体は同じような事件なのに,動機の違いだけで,刑の重さが全く違ってくるということになると,どうしても不公平感を拭えなくなり(霊界からみたら不公平でも何でもないですが),被告人も納得しないし,国民の理解も得られない気がします。

なので,現世の刑事裁判制度としては,現状のような判断の仕方でしょうがないのかなと思っています。

ただ,何で罪を犯したのかというのを深く考えることは,被告人の更生にとってすごく重要なことなので,被告人と何度も面会するなかで,「何でこんなことしたんですか??」ということは,視点を変えて繰り返し聞くようにしています。

最初は,被告人も心を閉ざしている場合が多いので,「別に深く考えてやったわけじゃないし・・・。」などと言って,あまり語ろうとしません。

けれど,足繁く被告人に会いに行って,被告人との信頼関係が出来てくると,「実は・・・」といった感じで,犯罪に及んだ経緯を詳しく話してくれるようになることが多いです。

私としては,裁判で重視されるかどうかとは関係なく,被告人の真の動機に迫っていって,そこから被告人の更生の糸口を見つけ出し,1人でも多くの被告人に更生してもらいたいと願っています(^ ^)


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コメント

No title

>足繁く被告人に会いに行って,被告人との信頼関係が出来てくると

逆転裁判の探偵パートを連想させますね。


私は限界のある人間の能力の中で、防犯のために犯人に対して適切な処置を施したり、隔離したりすることは、ある程度仕方のないことなのだろうな、と思っています。

そのためにも、冤罪の無いようにベストを尽くしてほしいですね。

私は死刑及び自殺については反対派で、最高刑は終身刑にすべきと思っている人間です。死刑にしたから反省する訳ではないので。

Re

香月様

いつもコメントありがとうございますm(_ _)m

冤罪については,初期段階できちんした弁護活動をしていれば,冤罪を阻止できたのではないかと思われる事件もあるので,冤罪防止は弁護人の役割でもあると思います。

死刑と自殺については,私も反対派です。

現在,死刑制度廃止運動等に参加しているわけではないですが,何らかの形で関与できればと思ってるところです。



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職業:弁護士
座右の書:『シルバー・バーチの霊訓』

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