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引き際は難しい

2018.09.07 23:32|仕事
ある窃盗事件の被疑者の弁護人になっていたのですが,先日,無事本人は釈放され,刑事処分はなしで解決となりました。

その被疑者は,住む場所が無くなり,路上生活を続けた末,コンビニで万引きして逮捕されたというケースでした。

一般的に窃盗事件とかですと,弁護人としては,被害者と交渉をして示談をまとめて,不起訴を狙うという弁護活動をするのですが,こういう被疑者の場合は,そもそも示談金が準備できないので,被害弁償自体,そもそも難しいんですよね。

しかも,仮に本人が釈放されても,その後の生活はどうするのかという問題もありますし,何も手当をせずに釈放されても,また万引きをして,という繰り返しになり,そのうち実刑判決で刑務所に服役,出所したところで社会復帰は難しく,また罪を犯すという負のサイクルが続いてしまいます。。。

なので,こういうケースで弁護人としてどこまで環境調整できるかというのがすごく重要になってくるのですが,逮捕されてから検察官が処分を決めるまでが最大23日間というのが法律で決まっていますので,3週間ちょっとの間で,被疑者が釈放された後の生活基盤の確保をしないといけないという意味で,時間的にかなりタイトなんですよね(>_<)

今回のケースでは,被疑者の前科・前歴からいって,被害者と示談できなくても,起訴はされないと思っていたので,被疑者が釈放された後の生活基盤をどうするかというのがまさに問題になりました。

被疑者本人は,大学卒業後に,引きこもり生活をずっと続けてきた方で,就労経験もなかったので,釈放されたとしても,すぐに仕事をすることは困難でした。

しかも,家族からも見放され,親族からの支援も得られず,住む場所も見つからないという状況でした。

私から本人の両親にも連絡を取ったりしたのですが,「もう縁を切ったので,関わりたくない。もう電話もしてこないで欲しい。」と言われました(~_~;)

そこで,被疑者には生活保護の受給と,入所できる施設が必要だと思い,釈放前から,生活保護受給者が入所できる施設を探し回った結果,すぐに入れる施設をようやく見つけることができました。

そして,被疑者が釈放された段階で,勾留されていた警察署まで本人を迎えに行って,そのまま車で福祉事務所まで一緒に行って生活保護の申請をしました。

こういう場合,被疑者一人で申請に行っても,生活保護の担当者から,「まだ若いから働ける。」とか言われて,追い返されたりするケースも少なくないので,一緒に行くことが必要になってきます。

申請は無事終了し,事前に連絡していた施設のスタッフの方が来てくれたので,そのスタッフの方が本人を施設に連れて帰るだけとなりました。

私としては,生活保護も受給できることになり,経済的基盤もできたし,入れる施設も見つかって住む場所も確保できて,ようやくホッとしたというところでした。

そして,施設の方と被疑者に挨拶をして帰ろうと思ったところ,被疑者から,「先生は今後は関わってくれないんですか。」と言われました。

その場では,「何かあれば私の事務所までいつでも連絡してくださいね。」といったことを伝えたのですが,被疑者としては,今後も継続してサポートして欲しかったのだろうなと思いました。

最後の被疑者の悲しげな表情を思い返すと,最後の別れ際は若干冷たかったなと思ったりしましたが,正直,刑事事件の弁護人としてできる範囲はここまでかなとも思いました。

被疑者が釈放された段階で,国選弁護人としての立場ではなくなりますので,被疑者の弁護人でも代理人でもなく,被疑者に関して何も権限を持たないということになります。

被疑者としては,今後の仕事のこととか,施設暮らしではなくアパート暮らしにとか色々と考えるべき点はあると思うのですが,そこはやはり福祉的な支援になってくるのかなと思います。

しかも,あまり本人のために何でもかんでもやってあげると,本人が依存しきってしまい,自分自身の力で動いたり判断したりということが出来なくなったりもします。

あとは,現実的に,私としても他に色々と事件を抱えているなかで,一人の被疑者に寄り添える時間というのは正直限られているという面もあります。

弁護士としての立場でより多くの人の役に立つということを考えると,今回の引き際は間違いではなかったのではないかなと思ったりしますが,もう少し福祉機関への橋渡しも出来たのではないかという面もあり,なかなか悩ましいところだなと思いました。

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コメント

No title

犯罪を犯して、散々人に迷惑を掛けた挙句、悠々自適のナマポ生活とは、
先生のクライアントは随分と結構なご身分ですね。

安易に生活保護を申請するのは如何なものかと思います。

現在、その者が人生において困窮しているのは、過去に良い種を蒔く努力
を怠ったからです。因果応報というものでしょう。

今は、人手不足の時代です。選り好みさえしなければ、仕事は色々とある
のです。

先生は、生活保護の申請ではなく、仕事の紹介をすべきだったのではない
ですか。その者には福一の除染作業等が最適の仕事かと存じます。良い稼
ぎになりますし、人生の厳しさ(裏を返せば、自分の甘さ)を肌で学ぶ絶好
の機会となるでしょう。
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年齢:30代
職業:弁護士
座右の書:『シルバー・バーチの霊訓』

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